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陣痛促進剤は何時間で効くの?使い方や効果・リスク・費用などを紹介

陣痛が始まって誰かに電話している妊婦

陣痛剤とは、出産予定日が過ぎているのに陣痛がこない場合や、破水後に陣痛がこない場合などに使われる薬剤で、目的によって陣痛促進剤や陣痛誘発剤と呼ばれています。

陣痛がこないと分娩が進まないため、出産に必要なタイミングで使用されますが、何時間ぐらいで効果が現れるのか、どのように使うのかなど、心配になる人は多いでしょう。

この記事では、陣痛促進剤とはどのような薬なのか、どのような場面で使うのか、効果が出るまでの時間や使用するデメリット、費用などについて紹介します。

陣痛促進剤とは

お腹を押さえている妊婦

陣痛促進剤、または陣痛誘発剤は、人工的に陣痛を起こしたり強めたりする薬剤です。

これらは同じ『子宮収縮剤』と呼ばれる薬剤ですが、目的によって呼び分けることがあります。

分娩が長時間に及ぶ際に陣痛を強くする場合は陣痛促進剤、予定日超過のように陣痛がないところから起こす場合は陣痛誘発剤、と呼び分けることが多いです。

ここでは、陣痛促進剤(以降、陣痛促進剤と呼ぶ)をどういう時に使うのか、使用条件や効くまでの時間、実際の使用方法や費用などについて紹介します。

妊娠を継続することが適切でない場合に使う

陣痛促進剤は、何らかの理由で妊娠を継続することが適切でない場合に、出産を促す目的で使用します。

以下のような場合に、陣痛促進剤の使用が検討されます。

  • 予定日を大幅に過ぎている
  • 感染症にかかっている可能性がある
  • 分娩に時間がかかっている
  • 母体側の社会的な都合や希望に合わせて出産日を決める『計画出産』

母子の安全を第一に考えた医学的理由や、医療機関の方針、母体側の希望を踏まえて計画的に分娩を行う場合など、適切なタイミングで使用されます。

陣痛促進剤が効くまでの時間

陣痛促進剤を使用した場合に、どの程度の時間が経過すれば陣痛がくるのかについては個人差があるため、効果が現れてくる時間は明確にはいえません。

投与したからといってすぐ出産となるわけではなく、人によっては出産に至るまで2〜3日かかる場合もあります。

しかし陣痛促進剤は、例えば決められた範囲を超えて使用すると、過強陣痛を招く恐れがあり、胎児に強いストレスを与えるため危険です。

慎重な投与が必要であるため、一度に大量の薬剤を使用することはありません。

一般的に、陣痛促進剤は8〜10時間を超えると感受性が弱まってくるとされるため、その場合は翌日以降に再度試みることになります。

陣痛促進剤の使用方法

ここでは例として、オキシトシンを点滴する場合の使用方法を紹介します。

陣痛促進剤での出産は、予定出産日の1〜2日前に入院するのが一般的です。

入院1日目には薬剤で陣痛を起こす前に、段階的な処置として、以下のような子宮頸管の熟化を行います。

  • ラミナリア棹による処置:タンポンのような棒状の器具で、水分を吸収すると半日〜1日かけて膨らんで頸管を拡張する
  • メトロイリンテルによる処置:ゴムの水風船のような器具で、中に生理食塩水を入れて膨らませる

子宮口を物理的に開くことで陣痛が誘発されることもあります。

入院2日目には、オキシトシンと呼ばれる陣痛促進剤の点滴を、少量から開始して徐々に投与量を増やしていきます。

もしこの際に陣痛が得られなかった場合は、翌日以降に再度点滴を行うという流れです。

陣痛促進剤の費用

陣痛促進剤の費用は、『正常分娩』か『異常分娩』かによって異なります。

正常分娩の場合、分娩費用は基本的に保険適用外(自由診療)のため、具体的な金額については医療機関によって設定が異なり、ばらつきがあるでしょう。

計画分娩などでの陣痛促進剤の場合、費用に幅がありますが、1回あたり1万円から5万円前後が目安となります。

一方で、妊娠高血圧症候群や長時間の微弱陣痛、分娩前の破水など、速やかに胎児を娩出しなければいけないような、医学的な必要性がある場合は異常分娩と判断されます。

その場合の陣痛促進剤については、健康保険が適用されるでしょう。

薬剤費用については3割負担となり、窓口負担は数千円程度が目安ですが、入院日数や追加処置、使用回数によって総額は変わるため注意が必要です。

初産だと効果が出にくい場合がある

初産婦の場合、陣痛促進剤を投与しても分娩がスムーズに進まないことがあります。

陣痛促進剤で陣痛を促すためには、子宮口が柔らかく開きやすい状態であることが理想的です。

初産の場合は子宮口が開きにくい、または子宮の反応が弱いなどの理由から、陣痛促進剤が効かない状態に近いケースもあります。

その点、経産婦は一度出産を経験しているため、子宮口や産道が柔軟です。

初産婦と経産婦との、陣痛促進剤が効く確率については、比較できる十分な一般向け統計は一概に示しにくいですが、効果が出やすいのは経産婦の方であるといえるでしょう。

陣痛促進剤は2種類ある

オキシトシンと書かれた瓶と錠剤

陣痛促進剤は2種類あり、どちらも母体の体内で作られるホルモンと同じ成分でできています。

母体の状態や出産歴、緊急の場合や分娩の進行状況などにより、どちらを使用するかは異なります。

それぞれの特徴や適応についてみてみましょう。

オキシトシン

オキシトシンは、子宮頸管がある程度開いている状態で使用されることが多い薬剤です。

投与方法は静脈内点滴で、少ない量から開始し徐々に増やしつつ、有効な維持量まで慎重に増量していきます。

自然分娩に近い、強い子宮収縮を引き起こすのが特徴です。

子宮収縮を強めて分娩を進める目的に適しています。

プロスタグランジン

プロスタグランジンは、子宮収縮の他に、子宮頸管を熟化させる作用もあります。

投与方法は、以下の3種類があります。

  • プロスタグランジンE2:経口内服薬(錠剤)。1時間に1錠、1日6錠まで使用可能
  • プロスタグランジンF2α:多くは静脈内点滴。少ない量から開始、徐々に増量
  • プロウペス:E2が含まれたペッサリー。腟内に12時間留置。細長い形状

喘息の場合、プロスタグランジンF2αの使用については注意・禁忌の扱いであり、緑内障の方は慎重投与です。

その場合はオキシトシンが選択されます。

陣痛促進剤はどのようなときに使う?

カレンダーにバツを付ける妊婦

陣痛促進剤は、計画分娩の他に、母子を守らなければならない時にも使用が検討されます。

どのような場合に使わなければならないのかを紹介します。

過期妊娠(予定日超過)

分娩予定日を過ぎて2週間以上経過すると、胎盤の予備機能が低下していきます。

この状態を放置すると、胎児がストレスに耐えられず状態が悪くなる場合があります。

そのため、妊娠41週頃をめどに分娩誘発を検討することになるでしょう。

前期破水

陣痛が始まる前に破水してしまうことを前期破水といいます。

通常、破水後24時間以内には有効な陣痛が起こることが多いです。

しかし、破水後に陣痛がないまま分娩まで長引くと、腟内の雑菌が子宮内に移行する恐れがあり、母子ともに感染の危険性が高まります。

この場合は入院となり、抗生物質の服用や点滴静注を行いますが、しばらく待っても有効な陣痛が起こらない場合、子宮内感染を防止するため分娩誘発を行います。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群のような妊娠関連の病気になり、妊娠を継続するにあたって好ましくない状態になった場合、陣痛促進剤の使用が検討されるでしょう。

この病気の合併症には、脳出血や肺水腫といったさまざまな重い病気も含まれ、一方で、胎児も発育が遅れたり、胎児機能不全を起こしたりするリスクがあります。

高血圧は軽快しないケースが多いため、母子が危険な状態に陥ると予測されれば、胎児が未熟でも分娩を促さなければならない場合があります。

状況によっては、帝王切開で妊娠を終結せざるを得ない場合もあるため、注意が必要です。

微弱陣痛

陣痛が来て分娩が開始されても、陣痛が弱すぎることで分娩が長引いてしまうことがあります。

子宮口が4cm以上開いているにもかかわらず、2時間以上も進行しない状態は『分娩停止』と判断されるため、速やかな処置が必要です。

陣痛が弱い状態が長く続くと、母子ともに体力を消耗します。

うまくいきめなくなったり、母子ともに危険な状態になったりするため、分娩を進める目的で陣痛促進剤を検討することになります。

場合によっては分娩誘発ではなく帝王切開に切り替えるケースもあります。

急速分娩が予想される場合

1人目の分娩を数時間で終えたことのある経産婦の場合、それ以降の出産がさらに短くなると予想されます。

分娩が急激に進んでしまう急速分娩のリスクを考慮した場合、計画分娩を検討するという選択肢を医師と相談できます。

医療機関までたどり着けずに、自宅や車中など、出産に適さない場所で分娩が始まってしまうような事態はできるだけ避けなければいけません。

そのような危険性が考えられる場合、陣痛を誘発する計画分娩を行うことで、自宅分娩や車中分娩などを避けやすくなります。

母体側の社会的理由、家族の事情や本人の希望

母体側にさまざまな理由や事情があり、あらかじめ日程を決めて出産したいという希望がある場合、計画分娩が行われることがあります。

例えば遠方からの里帰りの場合や、上の子供の預け先の確保が必要な場合、家族が立ち合い出産を希望しているケースなどです。

陣痛がいつ来るかわからない状態では、どのような事情があっても予定が組めない場合があります。

母子に何らかの問題があって、分娩を早めるべきだと医師が判断する医学的理由以外に、母体側の予定に合わせた誘発分娩を選択することも可能です。

陣痛促進剤を使用するデメリット

デメリット

陣痛促進剤は薬剤のため、副作用やアレルギーのリスクを伴う可能性がゼロではありません。

陣痛促進剤を使用する場合に考えられるデメリットについて紹介します。

過強陣痛

陣痛促進剤の使用によって過強陣痛を引き起こした場合、胎児への酸素の供給が不足したり、胎児機能不全を招いたりする可能性があるとされています。

また、過強陣痛は子宮にも過度な負担がかかる場合があり、子宮破裂や頸管裂傷、重篤な場合は羊水塞栓症の危険性もないわけではありません。

リスクの度合いには個人差がありますが、少量の投与でも慎重な管理が必要です。

緊急帝王切開の可能性

陣痛促進剤は、分娩停止や、順調に進行しない場合に使用されます。

しかし、薬剤を用いても分娩がスムーズに進行しない場合、緊急帝王切開に移行しなければならないケースもあります。

その場合、予定帝王切開よりも以下のようなリスクが高まります。

  • 術後感染症
  • 大量出血
  • 血栓症
  • 臓器損傷(膀胱など)

緊急性の高い外科手術となるため、母体にとって心身ともに大きい負担となります。

副作用による母子へのリスク

陣痛促進剤を使用した場合の、母子に対する副作用によるリスクがあります。

例えばオキシトシンの副作用としては、以下のようなものがあります。

  • 胎児仮死(胎児が苦しくなる状態)
  • 子宮破裂
  • 分娩後の大量出血

現代の産科医療ではこのような副作用はまれといわれていますが、薬剤を使用する以上、リスクについても知っておきましょう

陣痛促進剤を使用できない場合

陣痛促進剤の使用ができない方もいます。

以下のような方は陣痛促進剤(子宮収縮薬)が使用できません。

  • 使用する薬剤にアレルギーがある
  • 帝王切開の既往歴がある
    (オキシトシンは2回以上、プロスタグランジンは1回以上)
  • 古典的帝王切開など、特殊な帝王切開での既往歴がある
  • 帝王切開以外で子宮を深く切開する手術を受けたことがある
  • 前置胎盤
  • 児頭骨盤不均衡(母体の骨盤より胎児の頭が大きい)
  • 横位(胎児が横向きで頭位でも逆子でもない)
  • 重度の胎児機能不全
  • メトロイリンテル挿入後1時間以内
  • プロスタグランジンE2最終内服から1時間以内
  • プロスタグランジンF2αは気管支喘息がある場合

医学的理由があって陣痛促進剤を使用する分娩方法が必要でも、上記のような理由で使用できない場合は、その多くが帝王切開へ切り替わるでしょう。

まとめ

陣痛促進剤は、母子を守るために適切なタイミングで使用される薬剤ですが、効果が出るまでの時間には個人差があります。

陣痛がこない間は不安な気持ちになりますが、焦らずリラックスして過ごすようにしましょう。

新中野女性クリニックでは、自然分娩の他に、無痛分娩・計画分娩・立ち合い分娩や帝王切開、逆子の矯正も行っています。

妊娠20週頃に無痛分娩か自然分娩かの希望を、25〜34週頃にオリエンテーションをさせていただき、バースプランの相談も予定しております。

どのようなお産にしたいかをお聞かせください。一緒に考えていきましょう。

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