妊娠初期に出血が起こる8つの原因は?注意が必要な状態&受診の目安も紹介

「妊娠初期に出血したら、すぐに受診すべき?」「生理のような出血でなければ大丈夫?」など、不安を感じている方もいることでしょう。
実は、妊娠初期の出血には正常な経過として起こるものと、医療機関への受診が必要なものの両方があります。
出血の色や量、痛みの有無によってとるべき対応は変わることから、様子を見てもよいケースと、受診が必要なケースを理解しておくことが大切です。
この記事では、妊娠初期の出血が起こる主な原因から、注意が必要な症状の見分け方、そして出血があったときの対応と受診の目安まで紹介します。
妊娠初期に出血が起こる原因

妊娠初期は、出血が見られることのある時期です。出血の原因はさまざまで、問題のないケースから注意が必要なケースまであります。
ここでは、妊娠初期に出血が起こる主な原因について紹介します。
着床による出血
妊娠超初期(妊娠3〜4週ごろ)に、受精卵が子宮内膜に着床する際、子宮内膜の細い血管がわずかに傷つくことで出血が起こる可能性があります。
これは『着床出血』と呼ばれるもので、妊婦さん全体の20〜30%程度が経験するとされています。
個人差も大きいですが、出血量はおりものシートに薄くにじむ程度で、色は薄いピンクや茶色が一般的です。
期間は1〜4日程度と短く、強い痛みを伴わないことがほとんどとされています。
着床出血は妊娠による正常な経過のひとつであるものの、すべての方に起こるわけではありません。
絨毛膜下血腫による出血
絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)とは、将来胎盤になる絨毛膜(じゅうもうまく)の下に血液がたまった状態のことです。
着床の際に子宮内膜の血管が傷ついた血液が吸収されずに残り、かたまりとなったものとされています。
日本産婦人科医会「3. 絨毛膜下血腫/感染性流産による流産」によると、発生頻度は全妊娠の4〜22%程度と報告されていて、妊娠初期に比較的よく見られるものです。
出血の色は赤色や赤褐色が多く、量は血腫の大きさや位置によって異なります。
血腫が小さい場合は自然に吸収されて消えることが多く、経過観察となるケースがほとんどです。
一方、血腫が大きい場合は安静にするよう指示が出ることもあります。
子宮頸管びらんによる出血
子宮頸管びらん(びらん=粘膜がただれたような状態)は、子宮の入り口付近の粘膜が外側に向かって露出した状態を指します。
妊娠中はエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が増加することで、この状態が起こりやすくなります。
妊娠に特有の変化ではないものの、妊娠中に見つかることも少なくありません。
びらん部分は物理的な刺激に対して出血しやすく、性交渉や内診の後に少量の出血が見られることがあります。
多くの場合は一時的なもので、胎児への大きな影響はないとされていますが、出血が続く場合は受診が推奨されます。
子宮頸管ポリープによる出血
子宮頸管ポリープとは、子宮の入り口(頸管)にできる良性の腫瘍のことです。
数mmから数cmとさまざまな大きさがあり、多くの場合は症状がなく、健診の際に発見されることがあります。
ポリープの組織はやわらかく充血しやすい性質を持つことから、性交渉や排便時のいきみ、内診といった軽い刺激でも出血しやすい状態とされています。
妊娠への直接的な影響は少ないケースが多いものの、絨毛膜羊膜炎や頸管開大(分娩に向けて子宮口が広がっていく現象)の原因になることがあるため、切除が勧められることも多いでしょう。
繰り返し不正出血が起こる場合や、おりものの性状に変化がある場合は、早めに受診して適切に対処することをおすすめします。
性交や内診による刺激で起こる出血
妊娠中は、子宮や腟の粘膜への血流量が増加することで、出血しやすい状態になります。
そのため、妊娠前と同様の性交渉や産婦人科での内診であっても、わずかな刺激で少量の出血が起こることがあります。
出血量は少なく、一時的に止まることがほとんどです。
こうした刺激による出血は、前述の子宮頸管びらんやポリープが合わさることで起こりやすくなる場合もあります。
痛みを伴わない少量の出血であれば、過度に心配する必要は低いですが、出血量が増える、あるいは長く続く場合は、医療機関に相談したほうがよいでしょう。
異所性妊娠(子宮外妊娠)による出血
異所性妊娠(子宮外妊娠)とは、本来着床すべき子宮内膜以外の場所、主に卵管などに受精卵が着床してしまった状態を指します。
全妊娠の1〜2%程度の頻度で発症するとされていて、妊娠の継続はできません。
出血は少量から始まり、断続的に続くことが多く、色は茶褐色や暗赤色のことが多いとされています。
また、異所性妊娠は出血とともに腹部の強い痛みやめまいを伴うことがある点が特徴です。
放置すると卵管破裂などにより母体への影響が出るリスクがあることから、速やかな受診と対処が必要となります。
妊娠検査薬で陽性が出たら、早めに産婦人科を受診し、子宮内に胎嚢があるかを確認することが重要です。
切迫流産による出血
切迫流産とは、妊娠22週未満の時期に、流産となる可能性がある出血や腹痛の症状が見られる状態のことです。
子宮内に胎児がいて心拍も確認できる状態ではあるものの、流産に進行するリスクがあります。
出血量は少量から中等量まで個人差があり、鮮やかな赤い出血が初発症状として見られることが比較的多いとされています。
腹痛がなければ緊急性は高くなく、症状の程度によっては安静の指示が出ることがあります。
『切迫流産』という言葉から強い不安を感じやすいですが、胎児の心拍が確認できれば妊娠継続が可能なケースもあるため、落ち着いて医師の指示に従うことが大切です。
流産による出血
流産とは、妊娠22週未満に妊娠が途絶えてしまうことです。そのうち妊娠12週未満のものは『早期流産』と呼ばれ、妊娠初期に多く見られます。
流産が進行している場合、出血量が増加するとともに、強い下腹部痛を伴うことも多いとされています。
出血の色は鮮血から暗めの赤色まで幅があり、血の塊が出るなど人によってさまざまです。
切迫流産と異なり、子宮口が開いて妊娠が継続できない状態へと進んでいる場合は、速やかな受診が必要です。
出血量が多い、強い痛みがある、といった症状が現れたときは、自己判断せずに医療機関に連絡しましょう。
妊娠初期の出血で注意が必要なケース

出血の状態によっては、速やかな受診が必要なケースもあります。
妊娠初期は症状の見分けが難しい時期です。どのような状態に気をつけるべきかをあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
ここでは、妊娠初期の出血で特に注意が必要なケースを紹介します。
出血量が多い
妊娠初期の出血でまず確認したいのが、出血量です。
おりものシートにわずかにじむ程度であれば、緊急性は低いとされるケースが多いでしょう。
赤ちゃんが無事に育っているかを確認する意味で、医療機関に相談するのもひとつの方法です。
一方、生理のような量の出血が見られるときや、ナプキンが短時間で濡れてしまうほどの大量出血が続く場合は注意が必要です。
具体的には、切迫流産や流産、異所性妊娠(子宮外妊娠)など、早急な対応が必要な状態の可能性があります。
出血量の多さが気になる場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
鮮血が続いている
出血の色は、状態を見極めるうえで重要な手がかりになります。
茶おりと呼ばれる茶色や暗赤色の出血は、古い血液が排出されているケースが多く、比較的落ち着いて様子を見てもよいとされる状態です。
一方、鮮やかな赤色(鮮血)が続いている場合は、現在進行中の出血を示している可能性があります。
絨毛膜下血腫や切迫流産では、初発症状として鮮血が見られることが比較的多いため、出血が止まらずに続く場合は、早めに医療機関を受診してください。
強い腹痛を伴う
出血と同時に強い腹痛が現れている場合は、注意が必要な状態である可能性があります。
異所性妊娠(子宮外妊娠)では、着床部位が破裂することで突然の強い腹痛と大量出血を引き起こすリスクがあります。
片側だけが強く痛む、または肩や首に抜けるような痛みがあるといった症状は、腹腔内での出血を示すサインです。
切迫流産や流産の進行時も、下腹部痛を伴う出血が見られることがあります。痛みと出血が重なった場合は、医療機関への連絡が必要です。
出血が長く続いている
出血の継続期間も、状態を判断するうえで重要なポイントです。
着床出血であれば、1〜4日程度で自然に止まることが多いでしょう。しかし、数日以上にわたって出血が続く場合や、一度止まってもすぐ再び出るといった繰り返しが見られるときは、何らかの状態が続いている可能性があります。
妊娠6週前後は胎嚢(赤ちゃんを包む袋)の確認ができる時期です。この頃に出血が続く場合は、医師への相談を検討するのがおすすめです。
めまいや貧血症状を伴う
出血とともにめまいや立ちくらみ、動悸、息切れといった症状が現れている場合は、貧血が進んでいる可能性が考えられます。
妊娠中は血液量の増加に赤血球の産生が追いつかず、血液が薄まりやすい状態になるとされていて、出血が続くと症状が強まる場合があるため、注意が必要です。
特に、立っていられないほどのめまいや意識が遠のく感覚を伴う出血は、異所性妊娠(子宮外妊娠)の破裂など、緊急性が高い状態のサインである可能性もあります。
こうした症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
妊娠初期に出血があったときの対応と受診の目安

妊娠初期に出血が起こったとき、何をすべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
まずは冷静に状態を把握し、症状に応じて適切に行動することが、自分と赤ちゃんを守ることにつながります。
ここでは、妊娠初期に出血があったときの対応と受診の目安について紹介します。
まずは安静にして様子を見る
出血に気づいたら、まずは体を休めるのが基本です。少量で痛みを伴わない場合は、横になって安静にしながら様子を見てください。
激しい動作や長時間の立ち仕事は腹圧がかかることから、出血がある間は控えましょう。
外出や重いものを持つ行為も避け、できる限り体への負担を減らすのが、望ましい過ごし方です。
ただし、安静にしていても出血が続く、または新たな症状が現れた場合は、自己判断で様子を見続けずに医療機関への連絡を検討することが大切です。
出血の状態を記録する
出血が起きたときは、その状態を記録しておくと、受診時に医師へ正確に伝えることができます。
スムーズに診察を受けるためにも、以下の項目をメモしておくのがおすすめです。
- 出血の色(薄いピンク・茶色・鮮血色・暗赤色など)
- 出血の量(下着ににじむ程度・ナプキンが必要な量など)
- 出血が続いた期間
- 痛みやめまいなどほかの症状の有無
- 出血が起きたタイミング(性交後・内診後など)
可能であれば画像に残しておくと、色や状態をより正確に伝えられます。
医療機関へ連絡するタイミングを確認する
出血が少量で痛みもない場合は、次回の健診時に報告し、どのような状態になったら連絡すべきか確認しておくのも選択肢のひとつです。
一方、出血量が生理と同等以上ある、鮮血が止まらない、強い痛みを伴うといった状態では、診療時間内であればかかりつけの産婦人科へ連絡することが勧められています。
診療時間外でも電話で症状を伝えて指示を仰ぐことで、適切な対応につながります。
強い不安を感じるときは、症状の程度にかかわらず、まずは電話で相談することが安心への第一歩だといえるでしょう。
症状によっては早めの受診が必要
次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。
- ナプキンが短時間で濡れるほどの大量出血
- 鮮血が止まらずに続いている
- 強い腹痛や片側だけの強い痛みがある
- めまい・立ちくらみ・意識が遠のく感覚がある
- 出血とともに血の塊が出た
大量出血や意識の変化がある場合は、救急車の要請も検討しましょう。夜間・休日であっても、こうした症状があるときは医療機関へ連絡することが重要です。
日常生活で注意すべきポイント
出血がある期間は、体への負担を減らすことを意識した生活が基本です。特に以下の行動は控えるよう心がけましょう。
- 激しい運動や長時間の立ち仕事
- 重いものを持ち上げる行為
- 不必要な外出や激しい動作
- 出血が続いている間の性交渉
安静を指示された場合は、できる限り横になって過ごし、腹圧がかかる動作も極力避けてください。
出血が落ち着いた後も、かかりつけ医の指示に従いながら、徐々にペースを取り戻すことが大切です。
まとめ
妊娠初期の出血はめずらしいものではなく、正常な経過として起こるものから注意が必要なものまで、原因はさまざまです。
出血の色や量、期間、痛みの有無を冷静に把握し、状態に応じた対応をとることが重要だといえます。
少量で痛みのない場合は安静に経過を見ることも選択肢のひとつですが、大量出血や鮮血が続く場合、強い腹痛を伴う場合は早期の受診が求められます。
不安なときはひとりで抱え込まず、医療機関へ相談して安心につなげましょう。
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日本産科婦人科学会認定・産婦人科専門医の院長が、妊婦健診から分娩まで一貫して対応しています。
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