妊娠初期は飛行機に乗ってもいい?リスクや安全に過ごすための準備などを紹介

妊娠初期に飛行機の利用を控えるべきか、悩んでいませんか?
「赤ちゃんへの影響は?」「流産のリスクが高まるのでは?」という不安は、多くの妊婦さんに共通するものです。
結論として、体調や妊娠経過に問題がなければ、飛行機の利用自体は可能とされています。
ただし、妊娠初期は体調変化が起こりやすく、機内特有の環境が体への負担につながることもあるため、慎重に対応することが大切です。
この記事では、搭乗可否の判断基準、時期ごとの目安、考えられるリスク、そして安全に過ごすための具体的な対策を紹介します。
妊娠初期に飛行機に乗っても大丈夫?

妊娠がわかり、お腹が大きくなったり赤ちゃんが生まれたりする前に、旅行や里帰りなどで飛行機への搭乗を検討している方もいるかもしれません。
身体や赤ちゃんへの影響を考えて不安になってしまうかもしれませんが、正しい知識を持つことで、過度な心配をせずに判断できるようになります。
ここでは、妊娠初期と飛行機の関係について紹介します。
妊娠初期でも飛行機に乗ることはできるのか
妊娠超初期や妊娠初期であっても、体調が良好で妊娠経過に問題がなければ、飛行機を利用すること自体は可能とされています。
一般的な正常妊娠の場合、飛行機という環境が赤ちゃんに直接危険をもたらすとは考えられていません。
ただし、『乗れる状態かどうか』は個人の体調や妊娠の経過によって異なる点に注意が必要です。
妊娠初期は体調が不安定になりやすい時期でもあることから、医師の判断を仰いだうえで搭乗を検討することが求められます。
赤ちゃんに影響はあるのか
飛行機に乗ることで胎児(お腹の赤ちゃん)に直接的な悪影響が及ぶ可能性は低いとされています。
機内の気圧は約1,800〜2,400メートル相当の低圧に調整されていて、健康な母体であればこの程度の変化への対応は十分に可能とみられています。
また、上空では地上より放射線量が高まるものの、一般的な国内フライトで浴びる量はごくわずかです。
東京からニューヨークを往復した場合でも、約0.1〜0.19ミリシーベルト程度とされています。
これは、胎児への明確な影響が確認されている100ミリシーベルトを大きく下回る水準です。
さらに、搭乗前の保安検査で使用される金属探知機は、放射線を照射するものではないため、母体・胎児への影響はないと考えられています。
飛行機が流産の原因になることはあるのか
飛行機の搭乗が、流産の直接的な原因になるとする医学的根拠はありません。
妊娠初期の流産の多くは、胎児側の染色体異常によるものです。搭乗という行為が、そのリスクを高めるというわけではありません。
一方で、妊娠12週頃までは自然流産が起こりやすい時期であることも事実です。
飛行機が原因ではないとしても、旅先でトラブルが生じた場合にかかりつけ医以外での対応となるリスクや、精神的な負担があることは念頭に置いておく必要があります。
妊娠初期に飛行機を控えたほうがよいのはどんなケースか
体調や妊娠経過によっては、搭乗を見合わせた方が望ましいケースもあります。以下に該当する場合は、担当医に相談のうえ、搭乗の可否を慎重に判断してください。
- 性器出血や下腹部痛がある場合
- 切迫流産(流産しかかっている状態)と診断されている場合
- つわりが重く、日常生活にも支障が出ている場合
- 医師から安静の指示が出ている場合
- 子宮外妊娠や習慣性流産などの既往がある場合
このような状況での搭乗は、体への負担が大きくなることが懸念されます。よほど緊急性の高い用事がある場合以外は、飛行機の利用を見合わせるのがよいでしょう。
飛行機の利用に適した時期と避けたほうがよい時期の具体的な目安

同じ妊婦さんでも、飛行機に搭乗する時期によって、身体への影響や必要な配慮が異なります。
妊娠の進み具合ごとの特徴を把握しておくと、判断する際に役立つでしょう。ここでは、妊娠時期別の目安と注意点を紹介します。
流産が起こりやすい妊娠初期は特に慎重になるべき
妊娠初期のなかでも、妊娠12週頃(妊娠4ヶ月頃)未満、特に妊娠9週目頃(妊娠3ヶ月頃)までは、特に流産が起こりやすいとされている時期です。
この時期はつわりによる吐き気や倦怠感が出やすく、機内の揺れや気圧の変化によって症状が悪化する可能性も否定できません。
体調が変化しやすい状況で、十分な医療体制の整っていない機内に長時間いることは、万一の際のリスクを高める要因となります。
体調が安定しやすい妊娠中期は比較的適している
妊娠中期にあたる妊娠12〜28週頃が、比較的飛行機を利用しやすい時期といわれています。
この時期は胎盤が完成し、つわりが落ち着いてくる人が多く、妊娠初期と比べて流産のリスクも低下するためです。
一般的に『安定期』と呼ばれる妊娠16〜27週前後は、母体の体調が比較的落ち着いています。
お腹もまだそれほど大きくないため、座席での移動が比較的負担になりにくいでしょう。
旅行や移動を計画する場合は、この時期を選択肢に入れる方が多くいます。ただし、妊娠中期であっても体調や妊娠経過によっては、搭乗が適さない場合もある点に注意が必要です。
早産や破水のリスクが高まる妊娠後期は飛行機を避けたほうが無難
妊娠28週以降の妊娠後期は、早産(通常より早い時期の出産)や破水のリスクが高まる時期です。
機内には産婦人科医や助産師が常駐しているわけではなく、緊急事態が起きた場合に対応できる医療設備も限られています。
また、お腹が大きくなるにつれて血管が圧迫され、血流が滞りやすくなることから、長時間のフライトは母体にとって大きな負担となります。
里帰り出産のために飛行機を利用する場合は、妊娠32週頃までに済ませるのが望ましいでしょう。
航空会社の搭乗制限と注意点
妊娠週数によっては、航空会社の規定に基づいた手続きが必要になります。
国土交通省の基準をもとに、代表的な国内航空会社(ANAおよびJAL)の国内線の規定をまとめると、以下のとおりです。
- 出産予定日28日〜8日前(妊娠36週以降):診断書の提出が必要
- 出産予定日7日前以内:診断書の提出に加え、医師の同行が必要
なお、国際線ではさらに制限が前倒しになる場合があり、多胎妊娠(双子以上)や早産の経験がある方は、上記の週数より早い段階で書類が必要になるケースもあります。
利用する航空会社によって細かいルールが異なるため、予約時に各航空会社の公式サイトを確認しておくことが求められます。
また、搭乗前の診断書は、搭乗日を含めて7日以内に発行されたものが有効です。
妊娠初期に飛行機を利用する際のリスク

妊娠中に飛行機の利用を検討する際は、生じる可能性のあるリスクを具体的に把握しておくことが、適切な判断の助けになります。
機内特有の環境は、妊娠していない場合と比べて、母体への影響がやや大きくなることも少なくありません。
ここでは、妊娠初期に飛行機を利用する際のリスクについて紹介します。
気圧の変化による体調への影響
機内の気圧は水平飛行中でおよそ0.8気圧程度に調整されていて、これは標高約2,000メートルの環境に相当します。
離着陸のタイミングでは、気圧が短時間で大きく変動するため、耳の詰まり感や頭痛が生じることがあるでしょう。
これらは中耳の空気が膨張・収縮しようとする際に起こる現象とされていて、もともと頭痛が出やすい状態にある方は、症状が強く感じられる可能性も考えられます。
また、気圧が低下すると腸内のガスが膨張しやすくなることから、腹部の圧迫感や張りにつながることもあります。
気圧の変化による影響を通常より強く感じることも多く、倦怠感やめまいが出やすい点にも注意しましょう。
つわりが悪化する可能性
もともとつわりの症状がある時期に飛行機を利用すると、機内の環境が症状を悪化させる要因になることがあります。
揺れや機内の独特のにおい(機内食や人の体臭など)が刺激となり、吐き気が強まる可能性があるでしょう。
また、機内の酸素分圧(空気中に含まれる酸素の圧力)は地上より低い状態です。
貧血気味の方や元々体調が優れない方は、吐き気や倦怠感が普段より出やすくなる場合もあります。
つわりの症状が落ち着いていない段階での搭乗には、よりいっそうの注意が必要となります。
エコノミークラス症候群のリスク
エコノミークラス症候群とは、長時間同じ姿勢で座り続けることで脚の静脈に血栓(血の塊)が形成され、それが肺の血管に詰まる肺血栓塞栓症を引き起こすリスクのある状態です。
妊娠中は出産に備えて血液が固まりやすくなる生理的な変化があります。
そのうえ、大きくなる子宮が静脈を圧迫して血流が滞りやすくなることから、妊娠していない方と比べてエコノミークラス症候群が起こりやすい状態だといえます。
さらに、機内は乾燥した環境のため体内の水分が失われやすく、それによって血液の粘度が上がりやすい点も懸念材料のひとつです。
長時間フライト、特に6時間を超えるような移動ではリスクが高まりやすくなります。
長時間の移動による身体への負担
飛行機での移動は、腰痛や疲労の蓄積につながることがあります。
妊娠中はリラキシンというホルモンの影響で関節が緩みやすく、重心も変化しているため、狭い座席での長時間の着座は、通常以上に腰や骨盤への負担が心配されます。
加えて、機内の湿度は長距離フライトで20%以下まで低下することもあり、乾燥による喉の不快感が疲労にさらに重なることも少なくありません。
フライト後にむくみや疲労感が強く残ることも報告されていて、体力の回復に余分な時間がかかる点は念頭に置いておきたいところです。
体調不良時にすぐ対応できないリスク
万一機内で体調が急変した場合、地上の医療機関と同等の対応を受けることは難しい状況となります。
客室乗務員は応急処置の訓練を受けているものの、医療従事者ではないため、詳細な医療行為には対応できません。
搭乗中に医師が同乗していない場合、機内アナウンスで医療関係者を募ることになります。
また、緊急着陸が必要になると最寄りの空港への変更を余儀なくされ、対応が遅れる可能性があります。
特に海外フライトでは言語の壁もあるため、旅先でのトラブルがかかりつけ医に相談できない状況につながるリスクもあります。
このような機内の医療環境の限界は、飛行機の利用を検討する際に考慮しておきたい点のひとつです。
妊娠初期に飛行機に乗る場合の準備と過ごし方

飛行機に乗る際の過ごし方や事前準備を整えることで、身体への負担をある程度軽減できる可能性があります。
乗ることが決まったら、搭乗前から機内での行動までの対策をしっかりしておくのがおすすめです。
ここでは、妊娠初期に飛行機に乗る場合の準備と過ごし方を紹介します。
搭乗前に体調を確認し医師に相談する
搭乗前に一度かかりつけの産婦人科を受診し、飛行機に乗っても問題ない状態かを確認してもらいましょう。
体調や妊娠の経過は日々変化するため、外来の受診時に問題がなくても、搭乗直前に状況が変わる可能性があります。
相談の際は、搭乗予定の時期やフライト時間、行き先などを伝えると、より具体的なアドバイスを得やすくなります。
また、万一の際に備えて目的地周辺の産婦人科の場所をあらかじめ調べておくと、急な受診が必要になった場合の対応がスムーズです。
水分補給やこまめな身体の動きを意識する
機内では水分が失われやすい環境のため、カフェインを含まない水や麦茶などをこまめに摂るのがおすすめです。
コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、かえって体内の水分が失われやすくなる点に注意が必要です。
また、座ったままの時間が長くなるほど血流が滞りやすくなります。
安定飛行中に1時間に1回程度を目安として通路を歩くか、座席に座ったまま足首を上下に動かすストレッチを取り入れましょう。
トイレのタイミングを利用して体を動かすことも、血行維持に役立ちます。
締め付けの少ない服装で負担を軽減する
機内では、胸やお腹まわり、足などを締め付けない、ゆったりとした服装を選びましょう。体を締め付ける服は血行を妨げる可能性があることから、特に妊娠中は注意が必要です。
シートベルトはお腹の上ではなく腰の低い位置に装着し、ブランケットの上から留めるなどして子宮を直接圧迫しないよう工夫してください。
また、機内は冷えやすい環境でもあるため、レッグウォーマーや羽織れるものを用意しておくとよいでしょう。
携帯スリッパに履き替えると足先が動かしやすくなり、血流維持にも役立ちます。
母子手帳や必要書類を携帯する
妊娠週数を問わず、母子手帳と健康保険証は機内まで携帯しておくことが大切です。
母子手帳には妊娠の経過や医療機関の情報が集約されていて、旅行先や機内で体調が変化した際に、医療従事者への状況説明をスムーズにしてくれます。
かかりつけの産婦人科の連絡先や家族の緊急連絡先をメモしておくことも、万一の対応に備えるうえで有効です。
海外への渡航を予定している場合は、加入している海外旅行保険の内容にも事前に目を通しておくとよいでしょう。
妊娠中は保険の適用範囲に制限が設けられている場合もあるため、渡航前に確認しておくと安心です。
体調の変化に備えて無理のないスケジュールを組む
フライト前後の予定に余裕を持たせることで、体への蓄積疲労を軽減しやすくなります。
到着後すぐに予定を詰め込まず、休息できる時間をあらかじめ確保しておくのがおすすめです。
海外への移動の場合は時差による睡眠への影響も考えられるため、スケジュールに余裕を持たせておいたほうがよいでしょう。
また、搭乗前や搭乗直前に体調の変化がみられた場合は、搭乗を取りやめる判断も選択肢のひとつです。
旅行計画の段階から、変更やキャンセルのしやすい手配をしておくことも、柔軟な対応につながります。
まとめ
妊娠初期でも飛行機に乗ること自体は可能ですが、体調の変化が大きいため、機内環境による負担も考慮が必要です。
飛行機が流産の直接原因になるわけではないものの、リスクを理解し、時期や体調、経過を踏まえた慎重な判断が求められます。
不安がある場合は、主治医へ相談しつつ検討しましょう。
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