妊娠初期の動悸の主な原因5つ!病気の場合や対処法など詳しく紹介

妊娠中は動悸が起こりやすく、特に妊娠初期症状としてみられる動悸も少なくありません。
心臓がドキドキする感覚は落ち着かないものですが、病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。
この記事では、妊娠初期に起こる動悸の主な原因5つと、妊娠中に罹患する病気が原因の動悸、緩和する方法などを紹介します。
動悸の他にみられる妊娠中のさまざまな症状についても触れるため、ぜひ参考にしてください。
動悸は妊娠中のマイナートラブルのひとつ

マイナートラブルとは、妊娠によって身体に起こるさまざまな変化によって現れてくる、病気や合併症が原因ではない症状のことです。
妊娠のマイナートラブルは、週数が進むにつれて落ち着いてくることが多いですが、中には出産まで続くものもあります。
妊娠ではよく見られるつわりや便秘なども、動悸と並ぶマイナートラブルとして挙げられます。
しかし、マイナートラブルの症状の中には、妊娠に関連する病気の症状と同じ症状もあるため、判断に注意が必要です。
動悸が起こりやすいタイミング
妊娠中の方が日常生活で感じる、動悸が起こりやすいタイミングは以下の通りです。
- 運動中や運動後
- 階段を上ったとき
- 強いストレスがあるとき
- 怒ったり泣いたりしているとき
- アルコールやカフェインを摂取したとき
- 睡眠不足のとき
- 脱水状態のとき
日常では動悸が起こりやすいタイミングがいくつもあるため、妊娠初期は特に、動悸が起こったら安静にし、治まるまで休みましょう。
妊娠初期に動悸が起こる原因は5つ

妊娠初期に動悸が起こる原因は、主に5つあります。
- ホルモンバランスの変化
- ストレスによる自律神経の乱れ
- 1回の食事量が多い
- 血液量の増加と相対的な貧血
- 妊娠に関連する病気
それぞれの原因を詳しく紹介します。
ホルモンバランスの変化
女性ホルモンであるプロゲステロンは、妊娠初期に増加して、呼吸に深い関わりのある自律神経に作用します。
プロゲステロンは、母体の体温を高めに保つことで子宮内膜を柔らかくする役割があり、妊娠の継続に欠かせないホルモンです。
プロゲステロンの急激な増加によって自律神経が乱れると、血圧の上昇・心拍数の増加・筋肉のこわばりなどの症状が現れ、身体が緊張した状態になり、動悸が誘発されます。
妊娠初期のこのようなホルモンバランスの変化は避けられないため、この場合の動悸とは上手に付き合っていく必要があります。
ストレスによる自律神経の乱れ
妊娠中はさまざまなマイナートラブルに悩まされるため、常に不安に悩まされている方は多いでしょう。
特に妊娠初期や妊娠超初期は、慣れない身体の変化や出産への不安、経済的な心配などにより、ストレスを溜め込みやすい状況といえます。
このような妊娠中のストレスは、自律神経に影響して動悸を引き起こしていると考えられています。
妊娠に必要なホルモンバランスの変化とは異なり、ストレスが理由であれば対処可能と考えられます。
1回の食事量が多い
食後は、消化にエネルギーが使われることや血糖値の変化により、動悸が起こりやすくなることがあります。
食事量が多い時は胃も圧迫されるため、さらに動悸が起こりやすくなります。
食後に動悸が起こりやすいという自覚がある場合、1回の食事量が少し多いのかもしれません。
血液量の増加と相対的な貧血
妊娠中は、胎児の成長や出産時の出血に備えて血液量が増えます。
その血液を作り出し全身に送り出すために、心臓に負担がかかります。
また、妊娠中は血液量が増える一方で、赤血球の増加が追いつきにくく、貧血が起こりやすいです。
その結果、日常的な動作でも動悸が起こりやすくなります。
他にも、妊娠中に分泌量が増えるプロゲステロンは、血管を拡張する作用があるため、血圧が下がることで起立性低血圧を引き起こす場合があります。
貧血も低血圧も転倒の原因になりやすいため、十分な注意が必要です。
妊娠に関連する病気
妊娠に関連する病気によって動悸がみられる場合があります。
動悸の症状が考えられる、妊娠に関連する病気は以下です。
- 妊娠高血圧症候群
- 周産期心筋症
- 妊娠時一過性甲状腺機能亢進症
これらに罹患した場合も動悸が主な症状としてみられることがあるため、以下の説明を参考に、該当する場合はすみやかに受診しましょう。
妊娠に関連する病気が原因の動悸

妊娠中期以降になってから罹患する病気も紹介しますが、「妊娠初期から動悸はあったから……」と油断しないよう、今から確認しておきましょう。
妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降に高血圧を認める状態で、以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。
妊娠中期に突然発症するような病気ですが、原因は妊娠初期に胎盤がうまく作られないこととする説が有力です。
以下のような方がなりやすいといわれています。
- 糖尿病や高血圧・腎臓の病気を持っている
- 肥満である
- 40歳以上
- 家族に高血圧の人がいる
- 多胎妊娠
- 初産婦
- 妊娠高血圧症候群の既往歴がある
動悸以外にも以下のような症状が見られたら、すぐに受診してください。
- 強い頭痛
- めまい・ふらつき
- 目がチカチカする
- 急激な体重増加・むくみ
- 胃の痛み
- 吐き気
- 息苦しい
胎児の発育不全や、常位胎盤早期剥離などのリスクもあるため、妊娠中の方が注意しなければいけない動悸の症状として、把握しておいた方がいいでしょう。
周産期心筋症
周産期心筋症とは、これまで心筋疾患の既往がない女性が、妊娠後期から出産にかけて心機能が低下し、心不全を起こす病気です。
心不全は、血液を送る心臓のポンプの働きが弱くなって、体が酸欠状態に陥ります。
動悸・息切れ・倦怠感など多くの妊娠中の方が経験しやすい症状として現れるため、診断が遅れるケースが多いです。
妊娠中の方によくある症状の他に、寝ていて咳が出る、ぜいぜいとした呼吸音がある、全身がむくむなどの症状があります。
「妊娠初期からずっと動悸はあるから」と軽視せず、症状が悪化していると感じる場合は、早めに受診しましょう。
妊娠時一過性甲状腺機能亢進症
妊娠初期のつわりに伴って一時的に甲状腺ホルモンが一時的に上がることがあり、動悸や発汗・体重減少などの症状が現れます。
つわりの症状と一部が重なるため、見逃されやすい疾患です。
軽快することが多いため投薬の治療とはならないことが多く、重いつわりに対して吐き気止めや点滴を行うなどの治療が行われます。
この疾患自体は軽症で、経過観察となることが多いですが、必要以上に薬物治療を行うと、胎児の甲状腺機能が低下する可能性があるため、注意が必要です。
妊娠中の動悸を抑える対処法

妊娠中の動悸は、ドキドキする・脈が早いなどで済むものではなく、めまいや息切れがして苦しいといった症状が見られます。
妊娠中のつらい動悸を抑える対処法について紹介します。
異変を感じたら安静にリラックスしてストレスを軽減
突然動悸を感じたら、まずは深呼吸してリラックスすることを心がけましょう。
妊娠中の突然の動悸は、恐怖を感じたり焦ったりしてしまうため、症状が余計にひどくなる場合があります。
悪化を避けるためにも、ゆっくりと大きく息を吸って吐いて、心を落ち着けることで症状が緩和されるでしょう。
シムス体位で横になる
シムス体位は、お腹の大きい妊娠中の方がリラックスできる、横向きに寝る姿勢のことです。
多くの妊娠中の方の、ぐっすり眠れないときやリラックスしたいときなどに効果が期待できるとして、シムス体位が案内されることがあります。
基本のシムス体位を取る手順は、以下の通りです。
- 左側を下に横になる
- 下側になっている左足を伸ばし、上側の右足を曲げる
- 下側になっている左手を背中の方へ回す、または手を曲げて頭の下に入れる
シムス体位は、抱き枕があると体勢が取りやすくなるといわれています。
お腹が大きい妊娠中の方でも、ゆったりと楽に横になれるため、動悸をやわらげることがあります。
貧血の予防・改善
妊娠中の方は貧血になりやすいため、貧血を予防・改善すると動悸の症状緩和に効果が期待できます。
貧血の予防・改善には、鉄分を多く含む食事を心がけるほかに、産婦人科で鉄剤の処方を受けることなどがあります。
貧血が改善できれば、動悸以外にもだるさや頭痛・立ちくらみ・肌荒れなど、他のマイナートラブルの症状が改善につながる可能性があります。
日頃は適度に運動する
妊娠中は適度に体を動かすことで、体力の向上により疲れにくくなったり、少ない酸素で効率よく動きやすくなったりするなどの効果が期待できます。
以下のような運動で少しずつでも体力をつけることは、出産や健康維持・便秘の解消などにも役立ちます。
- ウォーキング
- マタニティヨガ
- マタニティスイミング
もちろん動悸があるときや体調の悪いときは、無理に運動してはいけません。
漢方薬を服用する
妊娠中の動悸は、必要となる血流量の増加や赤血球不足が重なるため、食生活で鉄分を補うだけでは十分に改善できるとはいえないでしょう。
そのため症状がつらい場合は、医師に相談のうえ、漢方薬が用いられることがあります。
特に当帰芍薬散と呼ばれる漢方薬は、以下のような効果があるとされています。
- 妊娠中の血流改善
- 張り止め薬(ウテメリン)の副作用(頻脈・震え・動悸など)の緩和
- 妊娠高血圧症候群の予防
妊娠中に見られる他の症状や、疾患の予防も期待されます。
市販のものを自己判断で服用することがないよう、動悸のつらさを担当医師に相談し、処方してもらいましょう。
食事量や回数の調整
妊娠初期のつわりの症状はさまざまで、中には食べづわりといって空腹時に吐き気や胃の不快感があるため、つい食べ過ぎてしまうというケースがあります。
しかし1回の食事量が多いと動悸の原因になるため、食事量を減らしたり小分けにして回数を増やしたりして、調整をしてみましょう。
よく噛んでゆっくり食べるようにすると満足感も得やすいため、食後の動悸が起こりにくくなるでしょう。
カフェイン摂取を控える
妊娠初期はまだ妊娠中の食生活が習慣づいていないため、ついつい刺激物やカフェインを取ってしまうこともあるでしょう。
しかし、カフェインの摂取は中枢神経を刺激し、心拍数を増加させると考えられています。
妊娠中のカフェイン摂取については、国や機関で目安が異なるため、気になる場合は担当医に相談しましょう。
※参考:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A 」
またコーヒーだけではなく、以下のような食品にもカフェインは含まれています。
- 各種お茶(紅茶・ウーロン茶・煎茶など)
- 一部炭酸飲料
- エナジードリンク
- チョコレート
- ココア
完全に控える必要はないため、ノンカフェインのコーヒーに変える、カフェインが含まれていないかを気にする習慣をつけるなど、工夫してみましょう。
動悸で受診する目安
動悸は妊娠の経過で起こる自然現象ですが、以下のような場合は受診しましょう。
- 安静にしていても治まらない
- 冷や汗が出る
- 日増しに悪化していく
- 安静時や就寝時に急に始まって急に終わる
- 胸の痛みや圧迫感がある
- めまいや失神を伴う
- 長時間続く
- 息切れや極度の疲労感がある
上で紹介した病気の他にも、治療や対処が必要な疾患の可能性があるため、上記のような場合は受診してください。
他にもある!妊娠初期のマイナートラブル

妊娠初期は、動悸の他にも以下のようなマイナートラブルがあります。
- つわり
- 疲労
- 頭痛
- むくみ
- 便秘
- 頻尿
- 足がつる(こむら返り)
- 貧血・たちくらみ
- 情緒不安定
- 歯のトラブル
- 切迫流産(出血・下腹部の痛み)
特に切迫流産は、症状がないまま健診で発見されるケースもあります。
妊娠初期は体調の変化が大きい時期のため、無理をしない・妊婦健診を受ける・パートナーに協力してもらう・症状がつらい時は受診するなど、自分を労わって過ごしましょう。
まとめ
動悸は妊娠初期からみられる症状で、つい「しんどい……」とため息が出てしまうでしょう。
このつらい症状は出産まで続くことも多く、特に後期になると血流量がさらに増加するため、出産まで動悸に悩まされる方も少なくありません。
紹介してきた対処方法で少しでも動悸を和らげるため、また動悸を症状とした病気を見逃すことがないよう、遠慮なく主治医に相談しましょう。
新中野女性クリニックでは、女性の大切なイベントである出産が、妊娠中の方にとってよりよいものになるように、お手伝いさせていただきます。
出産前の動悸やマイナートラブルで不安を抱えている妊娠中の方は、妊娠期間を穏やかに過ごせるよう、一緒に考えていきましょう。



