自分の身体は、自分で大事に守ってあげたい。
その想いをかなえるために
女性が自分で自分の身体を守る、一番確実な避妊方法がピルです。
避妊の失敗や、犯罪によって引き起こされる妊娠などは、女性の側だけが肉体的にも精神的にも大きなダメージを受けることになります。
女性が自分自身でできる安全な避妊方法を身につけることで、こうしたトラブルは回避できます。
ピル(経口避妊薬)とは
ピルは経口避妊薬、つまり避妊を目的とした飲み薬の通称で、英語ではOral Contraceptives(OC)と呼ばれています。
日本では医師による処方が必要な自費診療の枠組みに入っています。ピルの避妊効果は、毎日飲み忘れなく服用することによって確実になりますので、女性自らが自分の意思で避妊を選択することができるお薬だと言えます。
低用量ピルについて
ピルの中でも、低用量ピルはさまざまな副作用を大幅に軽減した安全性の高いものです。
避妊効果だけでなく、生理痛の軽減、出血量の減少、そして生理が定期的になり、またスケジュールに合わせてずらすことも可能など、数多くのメリットを持っています。
ただし、最近はHIV(エイズ)をはじめとする性病もかなり増加していますので、その防止のためにコンドームとの併用をおすすめしています。
服用のタイミング
低用量ピルは何時頃飲むとより効果的といった時間帯はありません。
また、食前食後といったタイミングも気にせず飲んでいただいて大丈夫です。
ただし、毎日忘れずに飲むことがとても重要なので、飲み忘れをしにくい時間帯に飲むことを習慣づけましょう。
また、飲みはじめの時期に軽い吐き気が出る方は、就寝前に飲むようにすると吐き気を感じにくいようです。
ピルの効果
ピルは妊娠したようなホルモン環境を作ることで、着床や排卵を抑制します。
そのため服薬を続けることで避妊が可能になります。
何錠服用したから避妊ができるというものではないので、まとめて飲んでも効果はありません。
避妊効果の他、生理痛や量の軽減、にきびの改善などがあります。
ピルの種類によっては逆ににきびができやすくなるものもあります。
副作用に関して
大きな副作用(乳がん・子宮がん、血栓症) |
20歳代で1万分の1位の確率で発生すると言われています。 ・乳がん : 自然な発生でも年齢とともに増加します。早期発見として、自己検診がとても有効です。乳房の外側上方に好発するというデータがあります。 ・子宮がん : 当クリニックでは初診時に子宮がんの検診を行っています。性交感染症といった既往がある場合などには、1年に1度の検診を受けてください。 ・血栓症 : 突然の足のむくみ、呼吸困難などで発症します。喫煙のほか、年齢や血栓傾向の抗体などが発症率を上昇させます。リスクを避けるために、禁煙をおすすめしています。 |
小さな副作用(頭痛や吐き気など、ちょっとした体調不良) |
1シート目の1週目は全体で1/3程度、3シート目になると1/20程度の確率で発生すると言われています。 こうした小さな副作用のほとんどは服用を続けることで徐々に収まっていきます。 ・短期的 : 頭痛、吐き気、乳房の張り、体重増加、にきびなど ・長期的 : 出血、微熱など 低用量ピルにはいくつかの種類があります。 それぞれ小さな副作用の出方が異なっていますので、初診時にそれぞれについてご説明しています。 初診と2回目の受診時にそれぞれ1ヶ月分をお渡ししているのは、患者様が問題なくそのお薬を飲み続けていけるかどうかしっかり確認する意味もあります。 ピルは毎日飲み忘れず服用することが不可欠ですので、ご負担なく飲み続けることができるかどうかがとても重要なのです。 また、にきびに関しては、できにくいピルもあります。 こうした小さな副作用は、同じ時間に毎日飲み続けることでほとんどは収まっていきます。 |
避妊以外のメリット
ピルは避妊を目的としていますが、それ以外にもさまざまなメリットをもたらします。
1.生理の周期が規則正しくなる |
毎月、同じ週の同じ曜日に生理が来ますので、スケジュールが立てやすくなります。 また、日時の決められた大事なスケジュールに生理がぶつからないようにコントロールすることも可能です。 |
2.出血量の減少と、生理痛や月経前症候群の軽減 |
個人差はありますがたいていの場合、生理時の出血量が減少します。 また、ピルを飲み始めた方が驚かれるのは、頭痛や不快感などの月経前症候群や生理痛の軽減です。 |
3.子宮外妊娠の発症頻度低下と、良性乳房疾患、 子宮内膜症、子宮体がん、卵巣がんの発症頻度低下 |
子宮外妊娠の発症頻度低下の他、長期間のピル服用により女性特有の病気のいくつかの発症頻度を下げることができます。また、大腸がんの予防になるという報告もあります。 |
4.にきびや多毛症の改善減 |
にきびができやすくなるピルもありますが、できにくくするものもあります。また多毛症も改善します。 |
ピルの種類に関して
低用量ピルには、28日タイプと21日タイプがあります。どちらも内容的には同じです。
本来、ピルを飲む必要があるのは21日間で、その後の7日間は服用せず、それが終わったらまた21日間服用するというサイクルを繰り返します。
ただし、服用する日としない日があることで飲み忘れを起こす可能性がかなり高まってしまいます。
そのため、飲まなくていい7日間はお薬の成分が入っていないものを服用して飲み忘れを防ぐ28日タイプが開発されました。
ピルは確実な避妊のために飲むものですから、飲み忘れの少ない28日タイプを当クリニックではおすすめしています。
当クリニックでは、ファボアール、オーソ、ラベルフィーユという3種類の低用量ピルを処方しています。
デイワンスタート |
生理開始日から飲み始めるタイプのピルです。こちらでも調整を行うことで週末に生理日がかからないようにすることも可能です。 |
ファボアールについて |
頭痛や吐き気、体重増加、にきびなどの発生がより少ないピルです。ただし頻度が少ないながら、出血の症状が出る場合があります。もし出血が続くようでしたらご相談ください。 |
避妊リングについて |
出産を経験されている方には、ピルだけでなくリングでの避妊も可能です。もともと避妊効果の高いリングですが、最近では薬剤を含んだものが登場し、ピルと同程度の避妊確率となっています。お薬を服用する必要がないため、より手軽な避妊方法となっています。 ※基本的に経産婦の方を対象にしています。 |